中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2439回
値上がりしなくとも我慢のできる投資なら

株式投資をするのは一銘柄有望な株を見つけて、
その料理が終ってからまた次の銘柄に移るのが一番の理想ですが、
一ぺんに2つの銘柄が目の前にとびこんできたので、
同時に2つの銘柄を料理する破目におちいってしまいました。
「どちらがいいか」
見比べて一つに搾ることも頭の中にあったのですが、
工場見学に行き、トップの人たちにもあって話をきくと、
それぞれ一長一短あって「どちらにしようか、梅の花」
と優柔不断なことになってしまいました。

旅程の都合で、
先ず東瑞製薬の蘇州工場に先に行きました。
東瑞製薬は香港の会社ですが、主力工場は蘇州にあります。
香港の本社に電話をかけて工場見学を申し出ると、
ちょうどことしの中間決算を発表する寸前なので
幹部がご案内できません。
すみませんが、1ヵ月遅らせてもらえませんかと
先延ばしにされました。
でも電話の主は私の名前を知っていて、とても叮嚀で、
次の週になると半期決算書をEメールで送ってきてくれました。
それを見ると、前年比、売上げはふえていますが、
利益が僅かですが3%減っています。
その理由を詳細にわたって説明しており、
理路整然としていて、
中国政府が薬価を抑えたことと、
同業者間の競争激化のせいで不本意な結果になったが、
同じ製品をアメリカでは自分たちの10倍の値段で売っているので、
新しい販路を開拓中と説明してありました。
また主力の抗生物質のほかに、心臓病の薬も市場開拓中故、
それで下半期の業績をカバーする努力をしている旨の
追加説明もありました。
但し、それで目標額を達成できるかどうかは断言できない
となかなか慎重です。
これで第一回の関門はパスです。
假に増収増益が今期のうちに達成できなかったとしても
昨年は、通期0.05ドルの配当をしており、
今年も同じ配当だとすれば、
時価80セントに対して、
6.25%の利廻わりになります。
これなら1年や2年の我慢ができる投資だと判断したのです。


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2006年11月13日(月)

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