中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2465回
相撲でさえ国際化する時代です

10年ほど前に私は
日本相撲協会もいまに日本国際相撲協会になるだろう
と予言したことがあります。
力士という職業は体力よりも
大へんな忍耐力を要する職業ですから、
親方たちが貧乏な地方のロクにメシも食えない村に行って
見込みのありそうな体格の男の子を探して出してきて、
「土俵にはお金が落ちているぞ。それを拾いたかったら、
うちに弟子入りしなさい」
と親たちを口説いてまわったものです。

ですから、ロクにメシも食えない家があることが
相撲の成立つ大前提でした。
ところが高度経済成長のおかげで日本の国全体が豊かな国になると、
力士の卵が見当らなくなりました。
たまに新弟子になる子を拾ってきても、
伜れが泣きべそをかいて家に逃げて帰ると、親の方が
「そんなに辛いのなら、帰っておいで」
ということでおしまいになってしまうようになりました。
相撲部屋が成り立つためには
新弟子の卵を海外まで探がしに行くよりほか
なくなってしまったのです。

はじめの頃は韓国も台湾もその候補地でしたが、
日本の後を追って所得水準が上がってしまったので、
すぐ不毛の地になってしまいました。
それでは親方の方がお手あげになるので、
次はハワイに手をひろげ、
やがてモンゴールからはじまって
遂にロシアやブルガリアやヨーロッパにまで及んだことは
相撲ファンでなくとも、ご承知の通りです。
高見山や曙が大関や横綱に躍り出た頃は
相撲ファンの間にも異和感がありましたが、
何せ実力の世界ですから、
いまや外国産の力士でも
それぞれひいきの対象として受け入れられるようになっています。
最も伝統的な国技の世界においてさえ
国際化は免れることができない時代になったのです。
外人が力士として登場したからと言って、
相撲が相撲でなくなるわけではありません。
土俵が拡がって外国人も参加できる国際的な競技になったのです。
それと同じことが
ビジネスの世界にも起ろうとしているのだと考えれば
わかりやすいのではないでしょうか。


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2006年12月9日(土)

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