中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2469回
被告は税金逃がれのために香港移住した悪漢

蓋を明けてみると、私に無断で私の会社から
毎月2万ドル(40万円)のサラリーをもらっていた本人が、
私の投資をはじめた北京のマンションや
天津の保税倉庫にまで予約金をいくつも入れていたのです。
すぐに予約金をとり返す積りだったのが、
ハンコと小切手帖を私がとりあげてしまったので
お金をとりっぱぐれてしまったのです。

本人は自分で取り戻せなくなったので、
親しくしている友人たちを口説いて
何人かで私に圧力をかけてきました。
その中には上海に建設中のオフィスビルの
一室を買った人もありました。
「自分が契約した通りにお金を払って下さい」と言うと、
「それだけお金がありません」と泣き言を言います。
「それならば契約金に払ったお金を一まとめにして、
好きな物件を買ったことにしてもいいですよ」と言っても、
手のひらをかえしたように威丈高になって、
私がお金を騙し取ったといって、
私を香港の裁判所に訴えたのです。

私は香港でもかなり名が通っていますので
新聞社にとってはまたとないニュースです。
新聞の1頁目や社会面のトップを賑わしたのも
一ぺんや二へんではありません。
しかもその新聞記事のコピーまで添えて、
国税庁をはじめ大新聞社、
さては私が常連執筆者になっているすべての雑誌社にまで
匿名で繰り返し投書を続けました。
もちろん、訴訟できるところは
香港の地方法院はもとよりのこと、
海上警察から汚職監督官庁に至るまで次から次へと訴状を送り、
その度に私は出頭を命じられました。
出頭して「何かあるのですか」ときいたら、
「あれば私たちの方から逮捕に行きますよ」
と言われたこともありますし、
取り調べのあとに「どうもお手数をかけました」と
詫び状のような公文を受け取ったこともあります。
香港ではもはやどこも受け付けてもらえなくなった本人は
遂に最後の手段として
香港の法人間の揉め事を東京の地方裁判所に持ち込んできました。
被告の私を
「日本での税金逃れの為に香港へ転出、
日本における住民登録はしていない」
悪党と名指して訴えています。


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2006年12月13日(水)

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