中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2474回
残りの人生を雲南で送りたい人は?

ジム・トンプソンはアメリカ人の将校でしたが、
戦後、タイにやってきて、タイ・シルクに魅せられ、
その改良と普及に全力を尽しました。
その甲斐あって、
タイ・シルクは世界に名を知られるようになり、
いまのジム・トンプソンの店は
周囲のシルク・ショップの3倍も高価なのに
いつも観光客で賑わっています。
またジム・トンプソンが田舎から古い家を解体して
町の中に運んできて建てた家は
現在、観光名所になっていつもバスが一杯とまっています。

それを見て「うちも邱公館を建てようよ」
という話になったのですが、
コーヒーの産地は昆明から飛行機で40分かかる田舎にあるので、
「そこなら土地を探がすのも容易だから」
と私は言うのですが、
「そんな遠い所では観光客は来ませんよ」
と難色を示されています。
タイ・シルクだって
バンコックでつくられているわけじゃないのだから、
コーヒーの館も昆明であってもおかしくないじゃないか
とうちのスタッフたちは言います。
私はお金を出す係りで
あとは皆でやるから黙って見ていて下さい
と口にジッパーをはめられています。

でも私にも好みはあります。
雲南に建てるからには先ず
雲南の伝統を取り入れる必要はあります。
雲南スタイルの第一印象は黒い屋根に白い壁です。
ゴテゴテとした細かい絵模様は不要ですが、
大理石と水の豊富なところですから、
四方をすべて水で囲むことと
家の中を大理石をふんだんに使ってつくります。
バンコックにスコタイ・ホテルという
グルリをすべて池で囲まれた
私のお気に入りのホテルがありますが、
陰陽五行説で言う八字のうち
四つまでが木でできた私の身体は
きっと水の中に横たわっているのが
性に合っているに違いありません。

でも観光バスが10台や20台とまれるだけのスペースが必要だから
少なくとも2千坪はと
プランを建てる連中は私をせち辛い現実に呼び戻します。
ついでに将来、
コーヒー・ショップとお土産屋をとりしきってくれる
サービス業に向いた人も必要だと言います。


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2006年12月18日(月)

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