中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2477回
本格的なM&Aの時代がはじまります

いま日本にお金の流れを変える新しい波が押し寄せています。
気がついている人も多いと思いますが、
日本より一足先に成熟社会になったアメリカで
物づくりをやっても思うように成果があがらなくなったので、
お金でお金をふやす商売が開拓され、
物が思うように売れなくても
株価を押し上げることによって儲けを生み出す新商売です。

もう何年も前から
高額所得者名簿に外資系銀行のコンサルタントや
アナリストで日本の一流会社のオーナー経営者よりも
多額納税者になった人たちが顔を見せるようになりました。
何事かといまでも意外に思っている人が多いかもしれませんが、
どうしてそんな人に
そんなたくさんの収入があるようになったかというと、
そういう投資銀行が集めた資金の運用をしている人たちは
歩合制でやとわれて仕事をしているからです。

企業や株の売買をして
金で金を生む仕事に従事している投資銀行は
会社の売買をしたり、
買収した会社の収益をふやして
株価を釣り上げてから売却するとか、
あるいは売買のコンサルタントをして
アドバイザー料をもらいます。
こういう株のやりとりをする投資銀行がどのくらい稼ぐかというと、
たとえばゴールドマン・サックスの
2005年度の税引き後利益が6582億円、
日本の証券界を代表する野村ホールディングスが947億円、
三菱東京フィナンシャルグループが3384億円ですから、
やっている商売の中身が如何に違うかわかります。

企業体やその株の売買は
アメリカでは経済成長が飽和点に達してから
新しくはじまっているので、
もうかれこれ20年はたちますが、
日本ではまだはじまったばかりです。
しかも日本の銀行や証券会社の体質では
不慣れな上に不向きときていますから、
当分はアメリカ企業の独壇場と言ってよいでしょう。
日本でお金を集めて日本企業の株を買い占めて、
稼ぎの一部を投資家に分配するだけですから、
日本人にもできそうなものですが、
企業買収にまで及んでいませんから
当分は外資系銀行の下働きに甘んじなければならないようです。


←前回記事へ

2006年12月21日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ