中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2487回
日本が中国に影響もすればその逆も

私が20年も前に中国投資をこわがらなかった理由は、
日本の賃金の高騰と円高によって日本の経済成長が峠をこえると、
それが恐らく間違いなく中国大陸に移るだろうと考えたからです。
工業生産の付加価値は
いつまでも同じところにとどまっているものではありません。
どこかがそれを失えば
新しくその条件にあったところに移り動くものなのです。
現に終戦後の日本に移動してきたのも、
アメリカがそういう条件を充たせなくなったからです。

アメリカは工業生産の基地としての条件を失った時、
自分たちで生産するのをやめて、
OEMで他所の国の人につくらせて、
自分たちは売って稼ぐ方にまわる道を選びましたが、
日本は職人の国ですから、つくることを断念したりしません。
生産基地が引越しをするなら
自分たちがお金や設備や技術を持って一緒に引越しをします。
そういった意味で、
そのうちに日本の対中投資は
大へんな勢いで伸びるだろうというのが私の物の見方でした。

すると一方的に日本のお金と技術が中国入りをして、
中国が日本にプラスするものは何もないのかというと、
もとよりそういうことにはなりません。
私の考え方では、
1つの文明と他の文明が接触する時は、
「交流」という言葉があるように、
必らずお互いに交じりあうものです。
日本は中国より一足先に西欧の文明を勉強して、
工業技術や社会制度をマスターしましたが、
中国には4千年の歴史があります。
ローマやパリの道がまだ泥んこだった時代に
長安の都は煉瓦で敷きつめられ、
白馬に乗った貴公子たちが西の方から出稼ぎに来た
青い服のホステスたちの働く酒場にしけこんでいたのです。

ですから、日本の技術とお金が中国に入るのと
入れ代わりに4千年の歴史ではぐくまれた
中国の文化や思想が日本人に影響することも
必らずある筈だというのが私の物の見方です。
中華料理、漢方、マッサージ、ハリ、からはじまって、
気がついたら日本人の物の考え方が変わることだって
無いとは断言できないのです。


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2006年12月31日(日)

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