中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2524回
金持ちの国からの出稼ぎがふえる

「地方の時代」が終わったとすれば、人口は再び大都市へ流れます。
成長期なら、工場労働者の需要がありましたから、
労働人口は大都市周辺の工業団地だけでなく、
新しく開発された工業都市にも集中しましたが、
いまやこれらの工業地帯にはブラジルの日系人だとか、
東南アジアの安い労働力が集団で働いています。
都会に集まると言っても、
日本人は3Kのような仕事には寄りつかないにきまっていますから、
時間給で働くアルバイトとか、
そもそも何もやらないで、一日中、
部屋の中にとじこもってパソコンと睨めっこをするニートで
身すぎ世すぎをする若者たちがふえています。
働くというよりも働かないで生きる若者たちを養うだけの余裕が
豊かな国日本にはあるようになったのです。

しかし、もちろん、
それだけでは気のすまない若者もたくさんいます。
夢があり、その夢を実現したいと考える人たちもたくさんいます。
そういう人たちは新天地を求めて海外に出ます。
それと入れ代わりに、
メシにありつくために3Kの仕事もいとわない
開発途上国からの若い人たちが日本に入ってきます。
したがって人口の総数にそれほど大きな違いが起らなくとも、
内容がかなり入れ交わった形で
人口の都会集中が起るということです。

どちらもお互いに海外に出稼ぎに行く形です。
それも貧乏国から金持ちの国へ出稼ぎに行くだけでなく、
先進国から発展途上国に出稼ぎに行く人がふえます。
先進国の人が発展途上国ではたす役割が
大へんな勢いでふえるのです。
どうしてかというと、
何もないところから富を創り出すことについては、
先進国の人が大先輩であり、その能力を身につけているからです。
そう言った人たちにとっては
発展途上国の方が富をふやすチャンスに恵まれていますから、
世界中からそうした野心を持った人が
発展過程に入った国々へ集まってきます。
気がついたら、国と国の間を遮っていた国境はなくなり、
争いは国と国との間でなく
人と人、企業と企業の間で起るようになるのです。


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2007年2月6日(火)

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