中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2534回
証券取引所は株の留置場です

株価は上に行くと売買がふえますが、
下げるとうんと減少します。
自分の買値を割ると、損が出ますから、
売り渋るようになります。
自分の買値より下になると、
日本国中が安定株主になってしまうのです。
そして、何年でも塩漬けにしてジッとガマンします。

それでいて、株価が戻りはじめると、
ジリジリして腰が坐らなくなります。
特に自分の買値をこえて上昇をはじめると、
また下がるのではないかと心配になって
あわてて売りに出ます。
すると、もっと上がってくやしい思いをさせられます。
何年も辛抱したのにとあとで悔んでも間に合いません。

しかし、それは辛抱ではありません。
自分の買値を割って売るに売れなかっただけのことで、
言わば牢屋に入れられていたようなものです。
それが年期があけた途端に手離すのですから、
辛抱したうちに入りません。
辛抱とは、自分の買値をこえて、
いつでも売れるプロセスに入ってから
どのくらいこらえられるかということです。
大抵の人はこのへんのところで儲けそこなってしまうのです。
「株の儲けは辛抱料です」と私が言うのは、
こうした誘惑に打ち勝つことができるかどうかを
問題にしているのです。

長い沈滞期を終えて景気が好転すると、
今度は株の上昇期に入ります。
自分の買値まで戻ればそれから先が長いのです。
そこで下りてしまったら、
取引所という留置場に入りに行ったようなものです。
長い間、留置場に入っていたのに、
「売った途端に上がる」のが株なのです。
ですから株が上がりはじめたら、すぐに売るとバカを見ます。
それを避けるために
「株は倍になったら半分だけ売れ」と私は常々言っていますが、
私がそう言ったら
「僕は株を買って倍になったことがありませんが、
どうしたらいいのでしょうか」
とききかえされてしまいました。
そうなると、やっぱり株の選び方と買う時期に問題がある
というよりほかなさそうですね。


←前回記事へ

2007年2月16日(金)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ