中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2545回
1億総投資家の時代はそこまで来ている

いまから50何年前、
日本でテレビが普及しはじめた頃、
皆がテレビの画面に吸い込まれるように見入っているのを見て、
口の悪い評論家の大宅壮一さんが
「1億総白痴化時代だ」
と名づけたことがありました。
テレビに映し出されたことをそのまま頭の中に受け入れて、
物を考えなくなったことを半分からかい、
半分心配しての発言でした。

その後、テレビは一家に一台どころか、
どの部屋にも一台と言った普及ぶりですから、
思考力を失った日本人はどうなったかというと、
意外にもアメリカと並ぶ世界の金持ちになりました。
そして、世界一地価の高くなった土地に住み、
土地の買い漁りをして
「1億総不動産屋」
と言われるようになりました。

そうなって日本人は世界一しあわせな国民になったかというと、
世界一物価の高い国に住み、
世界一嫉妬深い国民になって、
自分も自家用車に乗っているのに
隣りの車が自分の家の車より高価だというそれだけの理由で、
お互いに足を引っ張り合うようになりました。
そのうちにデフレの世の中になり、
いくらでも物がつくれるのに買ってくれる人がいなくなると、
もっとお金が欲しいという人がふえていき
「1億総投資家の時代」
に近づきつつあります。

右を向いても、左を向いても、
銀行の看板ばかり、テレビを覗き込むと、
保険会社の広告ばかり。
それでいて銀行は不正融資で、
保険会社は不払いでお目玉をくらっています。
もうずっと只のような金利が続いているので、
銀行に寝ている只の預金を狙って、
そのお金でビール会社や百貨店やコンビニまで狙う
買占め専門の信託会社が雨後の筍のように輩出しています。
とうとう定年になって何もやることのなくなった団塊の世代までが、
株の買占めに一役買って出る時代です。
日本は自分たちの気づかない間に、
投資家社会になり、
世界にお金を持って勝負に出る時代になったのです。
そういうあなたもインドやロシアの株にまで
色気を持つようになったのではありませんか。


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2007年2月27日(火)

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