中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2551回
中国人の懐は想像以上に深いわけ

いつだったか、まだ堤清二さんが
西武百貨店や西友の総帥をつとめていた頃、
中国に行って帰ってきたばかりだと言うので、
「中国人にあったご感想は?」ときいたら、
「いやあ、懐の深い人たちですね」
と複雑な表情をして答えたことがあります。
「懐が深い」ということは
「底が知れない」とか「理解をこえるものがある」
という意味だと思いますが、
「財布の中をあけてみないと、
どのくらい使えるお金を持っているかわからない」
という意味に解釈することもできます。

本当に中国人は私たちが
政府の発表する統計数字から理解するよりも、
もっとずっとたくさんの収入があるし、
またお金も持っています。
少し前、抗日運動の発火点になった
成都のイトーヨーカ堂の家主をつとめている関係で、
私がヨーカ堂の総経理さんにきくと、
まだ全体が貧乏で僅かな収入しかなかった頃でも、
高い輸入税のかかったベラボーな値段の
ソニーのテレビがポンポン売れたそうです。
政府の発表する所得数字からは全く想像もできないことですが、
それは10年たった今日、
もっと大きなスケールで国全体で起こっています。
一つには多くの人が本職の収入以外に
副業とか副収入を持っているからでしょうが、
全国的に夫婦共稼ぎになっているのと、
貯蓄率が高いこととも関係あります。

それが年々、賃上げが続いているのと、
少しでも収入のある職場が見つかると
すぐにも転職するので、
収入のふえるチャンスが私たちの想像する以上に高い、
そして、それがあるレベルに達すると、
一せいに消費に向うようになる。
政府の誘導もあって消費が一挙に盛んになると、
政府が先頭に立って今度は逆に消費を抑えにかかったり、
賃上げにストップをかけることもあり得る―
というのがいまの政治体制です。
ですから手離しで
世界最大の消費市場に殴り込みをかけるわけには行きませんが、
皆がどこにお金を使うかを研究して
新しく創業したり、株の銘柄選びをすることは
成功への早道であると言ってよいでしょう。


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2007年3月5日(月)

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