中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2613回
借金は両刃の剣であることをお忘れなく

過剰流動性によって銀行に溢れたお金は
もともと個人や企業のものですから、
それを何に使うかはそれぞれの所有者が決めます。
家の欲しい人は家を買うでしょうし、
自動車の欲しい人は自動車を買うでしょう。
食べることや着ることや旅行にお金を使いたい人は
それぞれの好みによってお金の使い方が違います。
しかし、一人一人の使うお金の総計が
商売をやる人に大きな変化をもたらします。

人が豊かになって何に一番お金を使うかというと、
「もっとお金をふやすこと」にお金を使います。
それも豊かになった人ほど、
「お金をふやすこと」にお金をたくさん使いますから
「お金をふやすビジネス」にお金がたくさん流れ込み、
最初は自分の使う財産価値のある物からはじまりますが、
やがて更に収入をもたらす資産にお金を使うようになります。
お金儲けのチャンスの少くなった日本で
逆にお金儲けの手伝いをするビジネスが
一番盛んになっているのを見てもおわかりの通りです。

中国の場合はまだそこまでは到達しておらず、
先ず自分の住む家からはじまって、
財産として持つ「値打ちのある資産」に
一大ブームを惹き起すことになることが考えられます。
そのために投資をする対象は、
過剰流動性のあるとないとで
変わりがあるわけではありませんが、
お金のふえ方が激しくなると、
資産価値のあるものの値上がりにスピードがつくので、
頭の回転の早い人や銀行から融資を受けることのできる人は
つい借金を利用して資産の値上がりを何倍にもしたくなるし、
また現実にそうする人がたくさんいます。

ところが、過剰流動性にストップがかかりはじめると、
逆に資産購入に向うお金が減りはじめるので、
資産の値下がりと需要の減少がはじまります。
遂には資産価値が借金を下回るようなことが起って
借金をたくさん抱えた人は倒産に追い込まれてしまいます。
お金儲けを加速されるのも借金なら、
お金の儲かった人を倒産に追い込むのも借金です。
借金は両刃の剣みたいなものですから、
心配な人はそばに近づかないに限ります。


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2007年5月6日(日)

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