中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2670回
アイデアさえあればいくらでも

日本国中どこに行っても、一時期、名物はモナカか饅頭でした。
どちらも、その土地の原料を使った物ではなく、
簡単に言ってしまえば、見様見真似でつくったものでした。
それでもほかにこれと言った特産がなければ、
土地の名物として通用したのです。

中国でも、それぞれの土地で
名物として謳われているものがあります。
しかし、料理はおいしければすぐ真似をされますし、
お菓子の類は共産下で長く貧乏生活が続いたせいで
抜本的な改善や進歩がありませんでした。
月餅一つにしても、
月餅を贈る習慣は復活しましたが、
内容はほとんど改善されておりません。
仕方がないので、私が北京のQ's・カフェで、
日本のアンコと餅を原料にした月餅をつくったら、
昨年のシーズンだけで何と1万個近くも売れました。

それに勢いを得て、いま私は昆明の邱公館珈琲の
全くシロウトあがりのマネージャーに
普洱茶のおつまみを考案する宿題を押しつけています。

と言うのも、ついこの間、
私が中国で働きたい日本の若い青年たちを連れて、
昆明市の翠湖飯店という5つ星のホテルに泊ったら、
ホテルの総経理さんが私たち一行を
すぐお隣りにある茶館に連れて行って
茶をご馳走してくれました。
お茶だけだというのに7人で700元、
つまり1人につき1500円も請求がかかったそうです。
平均賃金が7、800元の土地柄ですから、
名物とは言え法外なお茶代というよりほかありません。

茶におつまみとして昔からある茶菓子が出てきましたが、
1つ目を口にした人でも2度と手を出す人はいませんでした。
何百年も続いてきたものですが、
改良もされておらず、改良をしようと考える人もいないのです。
ホテルに帰った私はすぐにコーヒーショップのマネージャーに
茶の新しい茶菓子を工夫するように命じました。
1つ目は既にありました。
ココアを原料にしたビスケットですが、
これが普茶に妙に合うのです。
でもアイデアさえあれば、いくらでも次の名物ができてくる筈です。


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2007年7月2日(月)

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