中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2677回
IT産業の次はバイオ、そのチャンピオンは?

情報伝達の技術革命によって
世界中が大きく変わってしまいました。
たまたまその時期に台湾から多くの留学生がアメリカに赴き、
台湾の政情不安によって卒業後もアメリカに在留できるためには
エンジニアの資格が必要だったので、
留学生の90%以上がコンピュータを選びました。
そのためにIBMでもアップルでも
ITとかかわりのある会社は
台湾人の技術者のクビを切ったら、
会社が成り立たなくなるほど台湾人を採用した時期がありました。
パソコンが成長して行く過程で、
パーツをアウトソーシングに出すようになった時、
その仕事を受け持っていたスタッフの多くが
台湾人のエンジニアだったのです。

台湾人は商人の血を受けついでおり、利にさとい方ですから、
発注する側よりも、
パーツを受注する側にまわった方がトクだとさとり、
その仕事を台湾まで持って帰って、
次々とパーツの工場を台湾の新竹県につくって行きました。
それが台湾を世界のシリコン・アイランドにつくりあげる
きっかけとなったのです。
パソコンのメーカーは激甚な生存競争を生き抜くために、
パーツ・メーカーにもきびしいコスト・ダウンを要求したので、
その要求に応えるために、
コストの安い中国大陸に生産基地を移すようになり、
今日では台湾のパーツ・メーカーのほとんど9割以上が
工場を中国大陸に持つようになっています。
ケ小平が年に3万人の留学生を送り出すと宣言してから
既に20年の歳月がたちました。
いまではそういう技術者たちが
中国のIT産業の中核になっていますし、
北京の中関村をはじめ
各地に世界中のIT・メーカーの研究所が
人材を求めて中国に集中しています。
それでも中国のIT産業は
やっとこれから軌道に乗りはじめるところでしょう。

IT産業の次はバイオと言われています。
恐らくこれから20年はバイオの産業が
かつてのITに代わる地位を占めるようになるでしょう。
そのチャンピオンの地位におどり出る位置に
いまの中国はおかれていると私は見ています。


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2007年7月9日(月)

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