中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2694回
消費と広告は切り離せない存在です

南京では広告会社の「大賀伝媒」の本社を訪れ、
董事長の賀超兵さんから直接、
会社の近況と未来の展望について話を伺いました。
大賀の株主になった日本人の投資家たちの不平不満をきいていると、
一番の見当違いは広告に対する日本人の先入観を
そのまま中国に持ち込んで物を見ていることです。

ご存じのように、日本で一番大きな広告会社は電通と博報堂です。
電通と博報堂の一番の収入源はテレビの広告です。
ついで新聞、雑誌などの印刷物の広告です。
ところが、中国は媒体に対する規制がきびしく、
テレビはすべて国営で、最初の頃はコマーシャル皆無でしたが、
広告を受けつけるようになってからも、
広告業者のコミッションは5%しか払いませんから、
諸経費も勘定に入れると業者にとって魅力がありません。
新聞、雑誌にしても、
最近、地域的によく読まれるようになった新入りは
広告取りを自分たちでやっていますから、
広告業者の割り込む余地はほとんどありません。

そこで考え出されたのが戸外広告で、
皆さんが中国へ行って飛行機を降りて最先に目につくのが
町に出るまでに通る道に次から次へと続く立て看板です。
看板だからと言ってバカにしてはいけません。
繁華街の街角に立った看板は高いのになると、
一年に3百万元(4千5百万円)の広告料をとられます。
立看板に対する政府の規制もきびしく、
その権利をとるのも容易ではありません。
「大賀伝媒」はそうした権利を持った広告業者の中で
1、2位を争う位置におります。

しかし、戸外広告による売上げと計上利益は
大賀伝媒やその他の広告会社を見てもわかるように、
知れています。
オリンピックによって広告がふえると言っても、
精々、年に20%ていどの伸びでしょう。
それをやいのやいのと言う方が間違っています。
そういう投資家は文句を言う代わりに
早く株主から下りることをおすすめします。
にも拘らず私が広告に固執するのは、
これから中国はいよいよ
本格的な消費経済に突入すると見ているからです。
消費と広告は切り離せない存在なのです。


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2007年7月26日(木)

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