中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2760回
製薬会社の株を買う時に考慮すべきこと

山東羅欣をうまく掘出したことですっかり気をよくした私は
中国の製薬会社に目を向けるようになりました。
何しろ羅欣でもらった製薬会社のコスト一覧をめくって見ると、
薬の原価率がちゃんと記載されていて
何と売値の10分の1になっています。
同じ工業製品でも原価が半分を占めているものもあれば、
流通業に至っては計上利益が売上げの2%とか、
3%とか言ったものもあります。
日本では2%もあれば、
御の字ですが、
中国ではピルキントン・ガラスが5億元の売上げで
計上益2億元という時代がありました。
やはり原価率の低い業種が
株価の上がる可能性が高いことに気がついて、
次に香港に本拠地をおく東瑞製薬に目をつけるようになりました。

同社の決算報告書をとりよせて読んでみると、
理論整然としていて
会社の現況に対する分析にも非の打ちどころがありません。
業績が思うように伸びなかったのは政府が薬価を抑え込んだせいで、
鋭意対策に腐心しているし、
海外市場の開拓にも努力していると書いてあります。
そこで蘇州にある同社の製薬工場の見学を申し込んだところ、
想像以上に清潔且つ立派な工場で、
羅欣の工場が見劣りするくらいレベルが上でした。

これなら間違いないだろうと確信して買いに入ったところ、
買っても買っても次から次へといくらでも浮動株があって、
しかも株価がなかなか上へ行きません。
はじめは全く納得できませんでしたが、
次の決算が出て漸く伸びない理由がわかりました。
手堅い経営をしているので、
危い橋を渡るような会社ではないのですが、
販売力と市場の開発に問題があるのです。
ですから株価が急上昇しない代わりに、
急下落することもなく重石が載ったようにビクともしません。
株をやる人にとってはこれが1番の苦手です。
さすがの私も中国でクスリの株を買うなら
セールスの強いかどうかに
先ず目を向けるべきだったと反省させられました。
これも勉強の1つだと思えば納得できないことではありませんが、
数多い私の失敗話の1つであることに間違いありません。


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2007年9月30日(日)

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