中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2789回
北京のイタリア料理屋に意外な悩み

中国人とイタリア人は嗜好の上でどうして意気が合うのか
私にはよくわかりません。
マルコ・ポーロの昔から中国とイタリアの間で人の往き来があり、
絹は中国からイタリアまで伝来したことになっていますが、
ラーメンとスパゲティはどちらがどちらに影響したのか、
いまだにケンケンガクガク、本家争いが続いています。

それはともかくとして、
中国でこれと言ったフランス料理の名店がないのに、
イタリア料理は中国人の口に合うと見えて、
ちょっとした地方の都市にもイタリア料理の看板は時々見かけます。
しかし、どこのイタリア料理もまともな水準の店ではないので、
北京の三全公寓の改造をする時、
イル・ミリオーネ(中国名:素封)という
本格的なイタリア料理の店をつくり、
ピエモンテで修行をした泊義人君に料理長をつとめてもらいました。
内容もマルコ・ポーロが北京を訪れた頃、
あちこち中国人の豪邸に招待されただろうと空想を逞しくして、
中国風の古めかしいつくりに仕立てあげました。

あれから3年たって、そこそこにお客はありますが、
日本人や韓国人や香港、シンガポールの人ばかりで、
肝心の中国人はあまりふえません。
どうしてかとよくよくきいて見たら
イタリア風の本格的なスパゲティは
柔かい中華ソバに馴れた中国人の口に合わないのだそうです。
一口、口にふくんでスパゲティが堅いと、
「何だ、このソバは。まだ煮えてもいないじゃないか。
コック長を呼んで来い」
と大へんな見幕で怒鳴りだす人も一人や二人ではありません。

いくら説明しても言うことをきいてくれず、
これでは泊シェフも頭を抱えてしまいます。
本場イタリアのことをよく知っている人たちに
中国人好みの柔かいスパゲティを出したら、
きっと同じように怒鳴られてしまうでしょう。
誰かうまい解決法を思いついてくれる人はいないものでしょうか。
あったらぜひ教えて下さい。


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2007年10月29日(月)

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