中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2814回
人民元切り上げのプロセスがチャンス

「人民元は1ドル4元でしょうね」
と私が「亜洲週刊」のインタビューに答えたのは、
中国の貿易収支の動向を見た上での私の感想です。
かつて外貨の欠乏に喘いで、B株までつくった中国に
1兆ドルからの外貨準備が貯まる時代になったのですから、
人民元の切り上げを要求する諸外国の声は日増しに高くなります。

しかし、人民元を切り上げたら、輸出業者はショックを受けるし、
国としても折角、
お金の儲かるチャンスを逃すことになりますから、
オイソレとは承知できるわけがありません。
頑張れるだけ頑張って、
どうにもならないところまで追い詰められてから
切り上げをすればいいじゃないか、と、
かつての日本がそうであったように、
中国政府も頑張るにきまっています。
お金持ちになったことのない人間の集団が考えることは
皆、似たり寄ったりなのです。

それでも外貨が貯まり出すと、
それを裏づけにして自国通貨を発行しなければなりませんから、
プールから水が溢れるように家中が水浸しになります。
水が1階の床に来たくらいではまだガマンができますが、
1階の家具まで全部姿を消すようになると、
もっと高いところに金庫を置いている人だってあわてます。

早くから人民元の切り上げを要求されても、
最初は小出しにやるにきまっていますが、
国中が人民元で水浸しになり、
不動産屋株が値上がりするだけでなく、
物価高が全国的規模にまで拡がるようになると、
俄かにあわてるようになります。
恐らくその時は、
1ドル8元が1ドル4元になっているのではないかというのが
私の憶測です。
しかし4元までならないかも知れませんし、
4元で止まらないかも知れません。

それがどこで止まるかはさして重要なことではありません。
そうなって行く過程でどんなことが起るかが大切なんです。
なぜならば、その過程を上手に泳いだ人とそうでない人とでは、
持っている財産に大きな違いが生じてしまうからです。
皆さんが日本でかつてご体験になった通りです。


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2007年11月23日(金)

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