中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2817回
中国の建設ブームにノーと言ったわけ

私は中国で不動産投資を比較的早くから手がけたので、
不動産投資の長所も欠点も大体わかっています。
何しろ日本のゼネコンやマンション屋で、
中国で成功をおさめているのを1社も見たことがありません。
経済成長の続いているなかで、それがないということには
当然わけがあると思わなければいけません。

私が不動産投資をスタートした15年ほど前は
まだ清水建設や鹿島建設の看板を時々見かけました。
ところがそれがふえるどころか、
逆に影も形もなくなったということは
日本のゼネコンの手に合わない世界であることがわかります。
以前、進出した日本の企業は
建設に日本のゼネコンを指定したので、
中国側もやむなく日本のゼネコンの施工を許可しましたが、
それは1件ごとの許可で、
施工が終わるとそれでおしまいにしたのです。

それでも採算に合う仕事なら、工事はふえたでしょうが、
全部が全部、撤退してしまったところを見ると、
よほど手に合わなかったことがわかります。
先ず中国にはゼネコンというのがありません。
構造なら構造専門業者、冷房なら冷房の業者と契約をし、
材料もすべて施主が自分で買い求めます。
施主がゼネコンをやるのです。
ですから、工事は必らず遅れるし、
工事費は必らず予算をオーバーするし、
手抜き工事は日常茶飯事です。
それぞれの請け負いも
同業者同士で猛烈な値引き競争をするから、
日本のゼネコンは先ず絶対に割り込めないのです。

不動産の分譲をする不動産業者やマンション・メーカーにも
似たようなことが言えます。
青田売りをする時には、賃貸の保証までしますが、
建築資金に間に合わないような買手しか集まらないと、
手付金をとったままドロンを決めてしまいます。
一頃、建てかけたまま雨ざらしになっているビルが
たくさんあったのを見てもわかります。
そういうところに馴れない日本人が近づくことに
私は賛成できなかったのです。


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2007年11月26日(月)

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