中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2820回
オイルマネーの最初の出発点はマレーシアです

ドバイに行った話は前にも申し上げました。
帆掛舟の形をした1泊65万円の7つ星のホテルに
2日間、泊った話もしました。
そんな体験をいくらしても、
石油で儲けたお金がどこにどう動いてどんな働きをしているのか、
さっぱりわかりません。
石油成金のお金がどこからどう流れて、
どんなことになっているのか知りたければ、
文献をあさったり、そういうことを書いた本を読むことです。

産油国の人たちは自分たちが考えてもいなかったドルが、
大量に転がり込んだ最初の頃は、
どこにどう置いてどう動かしたらいいのか
さっぱりわからなかったようです。
ヨーロッパには回教の人がそんなにいるわけでもないし、
いても資産の運営のできる経験者はほとんどいません。
仕方なくてあちこちうろうろした後に辿りついたのが
同じ回教圏でも先進国の資本が一番早く入っている
マレーシアでした。
マレーシアの銀行が最初に石油資金を預かってくれ、
その運用を手伝ってくれたのです。

何しろコーランには金利を禁ずる教訓が書いてあって、
利息は貧乏人からお金をむしりとる悪虐な手段として
位置づけられています。
従って銀行にお金を預けても、
回教徒は利息をもらうわけには行きません。
イスラム金融では利息はとっていけないけれども配当、
つまり会社が稼いだお金の中からくれる分け前ならいい
という解釈をしています。
つまり1ぺん銀行を通って事業会社にまわり、
事業会社がそのお金を使って
儲けたお金がふえて帰ってきたということにすれば
気がすむということです。

私たちから見たら同じことじゃないかと思いますが、
そういったまわりくどい理財に協力することを承知したのが
マレーシアのすぐお隣のシンガポールの銀行でした。
さらにそれに続いたのが香港HSBCです。
石油資金というとインドのそのまた向うに
お金がうようよしていると思いがちですが、
実はアジアの銀行にプールされて、
そこから日本とか、韓国、
その他の東南アジア中を動きまわっているのが
オイル・ダラーなんです。


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2007年11月29日(木)

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