中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2821回
石油ショックで日本は滅びない

第一次石油ショックからもう30何年もたってしまいました。
石油が2ドルから一挙に12ドルまでハネ上がった時、
日本は100%に近い石油輸入国でしたから、
石油の値段が6倍になっただけで
日本の外貨準備高が1年で吹きとんでしまう勘定になり、
新聞という新聞が来年から日本人は寒空の下で
ふるえることになるだろうと悲観的な論調を展開していました。

それに対して、
私1人だけが異論をとなえました。
私の論拠はここです。
もし産油国が石油を売って貯め込んだお金を金塊に換えて
砂漠の砂の中に埋めてしまうのなら、
世界は大不況におちいって
日本のような輸出でメシを食っている国は
メシにもありつけなくなってしまうでしょう。
でも産油国の王様たちだってゼイタクをしたいだろうし、
病院を建てたり、海水を眞水に変えて
自分たちの国の人たちを喜ばせたいと思うなら、
石油で稼いだお金で石油消費国から生活必需品やら
さまざまの設備を買うことになる筈だ。
すると石油の値上がりによって値上がりした分だけ
上乗せした商品や設備を仕入れることになるから、
石油消費国だけが困るわけではない。
産油国の人たちは消費国という壁に向って
テニスの練習をやっているようなもので、
強く打てば強くはねかえる筈だ、
だから心配するには及ばないというのが私の考え方だったのです。

日本は石油の値上がり分を消化するために
死者狂いになって省エネ、省力に力を入れ、
むしろ石油ショックのあとの方が
一段と輸出力を強化したことは皆さん、
ごらんになっている通りです。
産油国は石油の値上がりによって
ふところ具合がうんと改善されましたが、
自分が努力して稼いだお金ではありませんから、
最初の頃はさしあたり王様たちが
湯水の如くお金を使うようになったくらいのことで、
そのお金をどうして運用するかといったところまで
手は届かなかったようです。
石油資金が産業資金として全世界の注目を浴びるようになったのは
2000年を過ぎてから以後のことです。


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2007年11月30日(金)

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