中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2834回
シティ・バンクについでホンコン・シャンハイ・バンク

しばらく旅行が続いたので、
次々と起る新しい変化に対する
私の近況報告が遅れてしまいました。
このコラムの原稿は大体、1カ月前か、
近くても2週間前に書いているので、
ちょうど昨日書いたかのように見える
ジャスト・オン・タイムというのもありますが、
その間に株価がかなり変動しているために、
株価だけ手直しをさせられることもあります。
但し、情勢分析については天下の大勢を睨んだ解説ですから、
訂正をすることは先ずありません。

たとえば、オイル・マネーの動きについて私は
マレーシアからはじまって、
シンガポールの銀行がくらいついたことにふれましたが、
シンガポールの銀行のあとに続いたのは
ホンコン・シャンハイ・バンクです。
ですから
「シティ・バンクの次にホンコン・シャンハイ・バンクは
いくら損をかぶったのだろうかね」
と周囲の者に言い含め、その心準備も自分なりにしていました。
そうしたら、ホンコン・シャンハイ・バンクの株価が
1日で5ドル下落し、
それがきっかけで香港市場が大暴落しました。
香港の事情通は私に指数が
3000ドルは暴落するぞと言っていましたが
実際はジェット・コースターに乗ったような動きになって、
いまもその余波が続いています。

11月の末になると、
ホンコン・シャンハイ・バンクは損失額こそ発表していませんが、
傘下の2軒の投資会社に350億米ドルの梃入れが必要だ
と発表しています。
350億ドルと言えば、4兆円ですから、
銀行界がアメリカのマネーゲームに
如何に大きく巻き込まれているのか、
その一端をうかがうことができます。
代表的な銀行の受けた損害だけでも大へんな金額ですから、
オイル・マネーをはじめ、
資金運用を投資銀行や証券会社に委託した投資家たちが
どんな目にあわされるのか、想像がつきます。

もとはと言えば、アメリカがドルを印刷して
石油の代金と中国、日本をはじめ貿易黒字国に支払った結果が
世界的な金あまりを惹き起したのです。
これはまだ10年前のアジア通貨危機に続く第2戦ですから、
同じような投資の失敗が次々と起ると覚悟しなければなりません。
このくらいのことで腰を抜かしてはいけないのです。


←前回記事へ

2007年12月13日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ