中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2885回
業種別選択から企業別選択の時代に

ラスベガスの電気製品展示会で
中国の家電メーカーのテレビがトップ賞をもらった記事が
新聞を賑わしていました。
中国のメーカーは他社の物真似ばかりで、
まだまだだと見下しているうちに、
デザインどころか、性能でも
日本を追い抜くところまで来ているのです。
私の知っている日本のトップ・メーカーの
北京代表が言っていましたが、
いまやそのメーカーが中国でつくっているテレビは
売れれば売れるほど赤字がふえる立場におかれているそうです。
ですから、物づくりなら大丈夫と思ったらとんでもない話で、
サムスンやヒュンダイが抱えている頭痛のタネは
もうすぐ日本のメーカーにも伝染してくる
と考えた方がいいのではないでしょうか。

では中国メーカーの独壇場が築かれつつあるのかというと、
実は中国内の各メーカーの間でしのぎを削る
猛烈な競争がはじまっているところです。
原料高と人件費の高騰は産業界の常識になりつつあるし、
逆に猛烈な競争で販売価格が押し下げられる方向にあるので、
成長業種だから大丈夫だというわけには行かなくなっています。
自動車のように本年度は800万台、
来年度は恐らく1000万台に乗せるだろう
と見込まれている業界でも、
ちょっと油断すると
売り上げ増に利益がついて行かないことが起ります。
つまり次の中国では業界別の選択ではなくて、
企業別の選択の時代に入りつつあるということです。

このことは家電とか、自動車のような
工業化のトップを走ってきた業界だけでなく、
発電とか、石炭とか、セメントとか、製鉄とか、
さては、流通業、ホテル業、サービス業にまで及んでいます。
つまり中国経済は工業化の第一段階を終えて、
業界内の差別化が進む段階に入ってきたということです。
したがって株式投資をする人も、
かつて製鉄メーカーならここだ、
自動車メーカーならここだと安易に考えていたのを
一歩間違えたらとんでもない籤を引くことになるぞ
と警戒する段階に入ったと考える必要があります。


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2008年2月2日(土)

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