中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2887回
先進国にできないことはやがて中国でも

産業が発展するということは
一口で言えば工業化が進むということです。
しかし工業と共に農業も発展し、
農産物が大きな付加価値をもたらしてくれるということは
先ずありません。
農業に従事する人口も相対的に減少するし、
そうした人たちの収入も相対的に減少するので、
国としては
そうした人たちの梃子入れをしなければならなくなるのです。

ですから工業化が進む中で、
農業部門に陽が当って目の醒めるような成長をすることは
先ずありません。
あるとすれば、農産物を加工して
新しい付加価値を生み出す食品加工業くらいなもので、
中国で言えば、蒙牛のような乳業製品とか、
康師傅のようなインスタントラーメンとか、
その他いくつか話題になっているジュース専業メーカーや
ワインのメーカーなどの
加工メーカーということになります。
いずれも農産物を扱っているわけではなく、
農産物の加工をして最終製品にして売るビジネスです。

日本では農協が農産物の流通や販売にかかわっていますが、
農作物は付加価値が低いし、
需給に価格を大きく影響されるので、お金儲けにはなりません。
農業をやって金持ちになった人は有史以来いないのです。
地主になった人と、王様になった人だけが
農民の上前をはねて農作物の分け前にあずかっていますが、
あとは食品加工という工業の分野になってしまいます。

ところが、中国の上場株を見ていると、
農産物を扱ってかなりの利益を計上している企業があります。
その中の一社を現地まで出かけて行って
見学したことがありますが、
販売先は海外、即ち輸出で息をついています。
もしそういうことが長続きするものなら、
先進国にも同じケースがありそうなものですが、
ナマの野菜を加工もせずに輸出して高い利益を確保することが
そんなに長続きするとは考えられません。
先進国にできないことを
先進国化途上にある中国が長く維持して行けることに
私は疑問を持っています。
中国の野菜の値段は日本の10分の1ていどということは
もちろん、承知していますが。


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2008年2月4日(月)

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