中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2888回
中国の銀行株の後進性ご存じですか

これからオリンピックが終わるまで、
もしくはそれから先も当分、
政府に動きを止められて
身動きのできない業種がいくつか考えられますが、
その中でも代表的なのが銀行です。
どうしてかというと、貿易収支の黒字によって
人民元が洪水になって溢れるところが銀行だからです。

銀行はお金を貸して利息を稼ぐのが商売ですから、
溢れるお金を貸したいし、
借りる側も借りたお金で不動産に投資したり、
儲かる商売に投資したらお金を儲けることができます。
しかし、それは只でさえ過熱状態にある経済を
更に沸騰させることになりますから、
預貸率を上げたり、金融引締めを強化したり、
あらゆる方法で首を締められることが考えられます。
ご馳走を前にして手足を縛られて
身動きのできなくなっているのが
中国の銀行群だと言っても間違いありません。

ならばいつかは縄がほどけて、
自由の身になる時が来るのではないかと
期待する人がいるかも知れませんが、
その日はそんなに近くはありません。
というのも中国の銀行制度の後進性は
上場を機に外国資本の資本参加があっても、
そう簡単には改善される方向にはないからです。
何しろ中国の一流銀行は融資をするのに、
たとえば1千万元融資をしても
借手の都合など無視して一年なら一年と区切って、
全額返済を要求します。
ですから、1年目にまた別の銀行から1千万元融資を受けて
返済するだけの能力のある企業でなければ、
もともと中国の銀行を利用することなど夢のまた夢なのです。

国営事業出身で
政府の威力を背景に銀行に睨みのきく企業なら別ですが、
海外から進出した外国企業で
中国の銀行をうまく活用できているところは
先ず一行もないのではないでしょうか。
そういう私も中国大陸でいくつか事業をやっていますが、
融資を受けている銀行はすべて香港に本店のある銀行です。
そういう銀行だとわかっていても
皆さんは平気で買う気を起しますか。


←前回記事へ

2008年2月5日(火)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ