中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2889回
中国にも次々と新しいきびしいハードルが

中国の政府は日本の政府と違って絶大な権力を持っているので、
総理大臣が一言発言するだけで
物価にストップをかけることができます。
もちろん、政府の威令がそのまま反映されるとは限りませんが、
上場企業など国を代表する企業はそれに従わざるを得ません。
ですから、石油や石炭の値段を上げてはいけない、
電力や水道の料金も釘付けだと言われれば、
禁令が解除されるまで、値上げはストップしてしまいます。

前にも電力料金が釘付けになって、電力会社の業績が悪化、
なかには無配に転落した会社もありました。
それと同じことがくりかえされますから、
コスト高を吸収することの困難な電力会社は
再びピンチにおちいることになります。
石油会社にしても、
ガソリンや石油製品の値段をおさえられれば、
売り惜しみをするガソリン・スタンドも
随所に見られるようになるし、
逆に香港のトラックやバスが深や珠海に乗り込んで
行列をする光景も見られるようになります。

その分、消費者の立場を政府が守ることになりますが、
株価もそれを反映しますから、
政府が抑え込んだ業種は株価も冴えないことになります。
そういった意味では、物価に大きな動きのある時は、
統制の対象になりそうな銘柄かどうかも
銘柄選びの対象になります。

しかし、何でもかんでも
政府の力で抑え込んだらいいというわけには行きません。
たとえば食料品の値段を抑え込んだら、
食料品は直ちに市場から姿を消してしまいます。
ですから物価を抑え込むよりは、賃金の値上げを放任するか、
むしろ奨励保護する政策がとられる可能性があります。
一口で言えば、企業を経営する側にとって
次々と難題が新しく降って湧いてくる方向にある
と言ってよいのではないでしょうか。
但し、こうしたことは中国にだけ
新しくまき起って来たことではありません。
かつて日本でも経験したことであり、
日本が乗りこえてきたように、
中国の企業もこれから乗りこえるべき新しいハードルなのです。


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2008年2月6日(水)

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