中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2890回
製薬・健康・福祉関係は次の成長産業

経済を成長させて行く上で中国政府が最優先させて行く分野は、
少くとも建て前として「民生」
即ち人民の生活を向上させる分野です。
中国経済が大へんなスピードで成長していると言っても、
生活のレベルはまだまだ低いところにあるし、
福祉や厚生の施設だって先進国には遠く及びません。

したがって少しでも景気後退の兆しが見えれば、
積極的な公共投資が考えられるし、
余力があれば次の積極策は福祉厚生に注がれます。
マイホームやマイカーは政府が奨励しなくとも、
お金があれば誰でも自らすすんでやることですが、
自分や家族のことでなくなると、
中国人は途端に手綱をゆるめてしまいます。
その分、政府が先頭に立って旗をふる必要があるのです。
道路港湾飛行場の整備はもとよりのこと、
環境汚染の改善も政府の仕事ですが、
病院を建てたり、
健康保険の完備も当然、
政府の仕事ということになります。
私が次の成長産業として
水処理やゴミ処理などの環境産業のほかに、
製薬や医療産業を取り上げたのは決して偶然ではありません。

40何年前、
私がはじめて日本の株式投資に興味を持った頃、
武田製薬はまだ小さな会社でした。
エーザイに至っては上場もしていませんでした。
その武田がいまや現金を1兆円も持つ
大変な金持ち会社だとどこかに書かれていましたが、
40年前にいまの株価やスケールを想像できる人は
恐らく唯の1人もいなかったと思います。
それと同じとっかかりのところに
いまの中国の製薬品業界がおかれています。
テルモのように使い捨ての医療品をつくっている優良会社もあれば、
抗生物質やバイオを手がけたばかりの
駆け出しの製薬会社もあります。
何しろ薬九層倍の業界で商売の相手は、
13億の人口ときていますから、
うまく軌道にのると
信じられないような業績をあげられる環境にあります。
製薬から健康などの福祉関係は、
オリンピックのあとのブームに乗れる業種の1つではないか
と私は見ています。


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2008年2月7日(木)

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