中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2893回
中国で日本の流通業が意外な大活躍

日本人と中国人を並べて比較した場合、
日本人は職人で、
中国人は商人というのが私たちの常識です。
日本人が職人としてすぐれている点は、
日本人の完璧主義と日本人の美意識がその背景にあります。
責任感も勘定に入れていいかも知れません。
商人としての中国人のすぐれた点は
コスト意識、競争心、鋭い金銭感覚が前面に出てきます。
駆け引きに熱心なことも特長の一つと言ってよいかも知れません。

ですから物づくりなら日本人、
商売なら中国人と割り切って両者を区別してきましたが、
最近の中国で現に起っていることを見ると、
工業製品の品質の高級化は大へんな勢いで進んでいる半面、
流通業界での日本進出企業の奮闘ぶりも
目を見張らせるものがあります。
安売りなら中国人の方が徹底しているかも知れませんが、
消費者もふところ具合がよくなると、
安い物よりも良い物、
いい加減な対応よりも心のかよったサービスに
お金を払うようになるからです。

反日運動のきっかけとなって
ガラス窓を割られた成都イトーヨーカ堂の繁盛ぶりを見たら、
流通業は中国人の最も得意とするものとはとても言えなくなるし、
天津の伊勢丹で高級品に人気の集まるのを見たら、
中国人は安さにひかれて財布の紐をゆるめる国民だというのは
間違いだということになります。
むしろ豊かになるにつれて人のお金の使い方は変わると考えた方が
事実に近いのではないでしょうか。

そう言った意味で、
日本の流通業者は中国の流通業者の先輩であり、
日本の流通業者の中国進出には目を見張らされるものがあります。
イオンが目下、
北京でショッピング・センターの展開に着手したところだし、
ローソンについでセブン・イレブンのチェーン展開にも
かなりのスピードが期待できます。
その裏打ちをしているのが日本人のサービス精神ですから、
日本で苦戦を強いられている中小流通業者にとっても
耳寄りな話と考えられないものでしょうか。


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2008年2月10日(日)

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