中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2897回
日本の商店街は不景気に見舞われます

ことしの日本は収入はふえないのに、
物価ばかりが上がる方向に動いています。
収入がふえないのは、
国全体の経済が成長期をすぎて爛熟期に入ってしまったからですが、
そこへサブプライム・ローンに端を発したアメリカのゴタゴタで、
アメリカに対する輸出にもかげりが出るので、
企業の収益力に赤信号がともるようになるからです。

それに対して物価が上がりはじめたのは、
食品とか、石油とか、資源関係に対する需要が増大している一方で、
世界中に溢れた投機資金が証券市場から引き揚げて
商品市場に集中しているために、
例年に比して生活必需品の価格が押し上げられているからです。
その結果はやがて不況による実需の減少によって、
行きすぎた分の価格調整が起るでしょうが、
たとえば1バレル100ドルを越えた石油が
70ドルから80ドルていどに落着いたとしても、
消費が抑えられることによって、
産業界全体が不況色を濃くすることが考えられます。
日本のデパートは休日でも
お客の数より売り子の数が多い光景が珍しくなくなっていますが、
スーパーやコンビニの売上げも
前年度を下回る企業がふえることを覚悟する必要があります。
地方の商店街にある個人商店に至っては、
シャッターをおろす店が
一段とふえると考えるよりほかないでしょう。

それに比して、中国ではアメリカの不景気と人民元の切上げによって
輸出にかなりストップがかかります。
たとえばアメリカで住宅の着工が減少すれば、
世界一になった中国の鉄材輸出にブレーキがかかるので、
中国の素材産業にも不況色の出る心配があります。
国内消費がその分を補うと言っても、
安物は既に町中に溢れて見向きもされない状態におかれています。
安値で勝負をしてきた中国で、
質とサービスで勝負する時代がはじまろうとしているのです。
したがって業種の選択をすればよかったのが
企業別の選択をする必要が起っています。
株の銘柄選びをする場合も
ことしはそのへんで見当違いを起さないことが大切になりました。


←前回記事へ

2008年2月14日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ