中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2899回
小資本家の海外投資がはじまった所です

日本の景気が悪くなると言っても、
日本人の大半の人がメシが食えなくなるほど
深刻な事態におちいるわけではありません。
一ぺん生活のレベルがあがると、
社会が必要としているだけの生産は続くし、
それを手に入れるだけの手立てはできているので、
昨年と同じ程度の収入も消費も
維持することくらいのことはできます。

しかし、高度成長期のような坂を駈けあがるような
きびしい生活は続きませんし、
仕事のなくなったところでは収入の道もなくなりますので、
商売はあがったりになります。
たとえば地方と大都会とでは同じ会社なら労組も一つなら、
賃金ベースにも大差がないので、
工場を日本の地方から中国とか、東南アジアに移すとなると、
工場の閉鎖で地方の収入がパッタリなくなってしまいますから、
地方の商売はあがったりになってしまいます。
それでも日本人の所得水準は
東南アジアの他の国々に比べると依然高い水準にありますから、
地方の人たちが都会地に職を求めて移住することはできます。
また自分たちの身についた職や財産を持って
外国に移住することもできます。

私が見ていると、中国人の場合は仕事がなくなると、
すぐに収入の道にありつくために、
親戚やツテを頼りに外国へ動きます。
家族の中で先ず一人が先に出かけて行って、
これはいけるぞと思ったら、一人また一人とふやして
全家族がトロントだろうと、フィレンツェだろうと、
メシの食えるところに大移動してしまいます。
ところが、日本人は会社の命令で外国に赴任しても、
任期が終わるとすぐ日本へ帰ってきてしまいます。
外国に行っていても心は日本に残っているので、
住みなれたところに帰ってくることばかり考えているのです。

ところがそれではやって行けない
グローバル化の時代になってしまいました。
そうした環境にどう対応するのか、
興味を持って観察していると、
日本人は自分は出て行かずに、
お金を先に出稼ぎに行かせる人が多いようです。
つまりお金の方が一足先に出て行って
自分は日本国内にしがみついて離れようとしないのです。
それがグローバル化時代に対する
日本人の対応の仕方の第一歩ですが、
はたしてそれでよいのでしょうか。


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2008年2月16日(土)

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