中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2904回
「建値を忘れよ」があなたにできますか

株をやる人は大抵、
自分が買った時の建値と
いま現在いくらしているかという時価の二本建てで
自分の財産を比較します。
時価が建値より上にあれば、儲かった儲かったと言って喜びます。

でも株は買った途端に、
自分がいくらで買ったかはもう世間で通用しなくなります。
いくらの財産価値があるかは
売れて現金化された金額でしか評価されませんから、
いくらで買ったかは自分以外の人には関心のないことなのです。
ですから「建値を忘れよ」と兜町では昔から言われています。
逆に言えば、株をやる人は自分の仕入れ値段に一番こだわるし、
叩き売ってしまうまで、こだわり続けると言うことです。

しかし、一旦、自分が持主になってしまった株は
売る時もナンピンをかける時も、
時価でしか評価してもらえないので、
昔の値段にこだわると身動きができなくなってしまいます。
こだわるとすれば、未来の株価にこだわるべきで、
したがって今日の時価に比べて未来がどうなるかだけに集中して
神経を使えばいいのです。
したがって、もっと上がりそうな株が見つかったら、
その通りになるかどうかは別として、
自分が最も正しいと信じた判断があれば、それに従って、
「自分が一番間違ったなあ、失敗したなあ」と思っている株を
「自分がいくらで買ったか」などということは
きれい、さっぱり忘れて、
思い切って叩き売ってしまえばいいのです。

ここで一番問題になるのは
いくら損をしたかということではありません。
いま考えて行動しようとしていることが正しいかどうかです。
株式投資にも、もちろん、運不運はつきものですが、
少しでも正しい方向に自分を近づけることが何より大切なのです。
そのためには正しい知識の吸収も必要なら、
性格の矯正も必要です。
金儲けというよりは、
金儲けのための知識の習得と精神修養が要求されるのです。
ピンチの時ほどそうした修養の必要が痛感されます。
そういう意味でも
いまはグッド・タイミングと言っていいのではないでしょうか。


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2008年2月21日(木)

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