中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2905回
世間の常識に従わないのが株式投資です

自分の買った株が大型株か、それとも小型株かを気にする人は、
大型株なら資本金も大きいし、世間の信用度も違うし、
まさか倒産してしまうようなことはないだろうと
タカをくくるところからスタートしています。
株の初心者は世間の常識に従って行動しますから、
その人の好きなようにやればよいのです。

50年近く前、現に私がはじめて株に手を出した時も、
私は世間の常識に従って、
誰でも知っている一流会社の株を買うことからはじめました。
当時は投資信託がスタートしたばかりで、
四大証券が客集めのために
投信の時価を押し上げることに夢中になっていました。
自社投信の時価を他社より押し上げるためには、
他者と共通の組み入れ銘柄よりも、
自社だけの単独組入れ銘柄に力を入れる必要があります。
そう考えたので、
私は山一や日興などの単独組入れ銘柄を研究して、
上がりそうな銘柄を
先回わりして買うことからスタートしたのです。

ところが、その作戦はすぐには思った通りにならず、
諦めた頃にやっと一部に効果が現われるのがやっとでした。
それにしびれをきらして、相場を見て株を買うのはやめて、
成長株買いという当時は誰も考えなかったことを思いついて、
無名で小型の会社に目をつけたのです。
自動車ブームがはじまったばかりの時でしたから、
大抵の人がトヨタとか、プリンスとか、いすずとか言った
自動車メーカーの株に目をつけましたが、
私は自動車が走れるためにはまず道路の整備が大切だと考えて、
当時誰も知らなかったトンネルを掘る佐藤工業とか、
橋をつくる宮地鉄工と言った小型株を買うことをすすめました。
その話を当時、親しくしていた
文芸評論家の臼井吉見さんに耳打ちしたところ、
臼井さんが野村証券に行って、
佐藤工業の株を買いたいと言ったら、
「危ないからおよしなさい」とその場でとめられたそうです。
産業界の未来を見ないで、
その時の世間の常識に従うのが安全な株の買い方だ
と思う人が多いのです。
証券会社の人たちもそれを当り前のことと信じ込んでいるのです。
あなたもそういう人の仲間なら
何も私のコラムなど読む必要はないんじゃないでしょうか。


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2008年2月22日(金)

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