中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2909回
お金の寿命は10年ごとに一巡する?

昔は60年に1ぺん、大きな変化があると言われていました。
それが世の中を動かす歯車のスピードが早くなったせいか、
30年に1回転という感じに変わりました。
人の寿命が延びて
働き盛りが30年くらいに延びたのと一致しています。
「会社の寿命は30年」というのも、
また「一人の人物が頂上をきわめる期間」とも
サイクルが同じなので、
何となく理解ができます。

ところが、最近のお金の動きを見ていると、
景気のサイクルは「大廻り10年、小廻り3年」に
なってしまったのじゃないかという動きになりました。
サブプライム・ローンによる金融不安がはじまったのは
昨年の夏でしたが、
バーツの売り叩きにはじまったアジアの金融不安は
ちょうど10年前です。
ブラック・マンデイは更にそのまた10年前ですから、
もしかしたら、グローバル化に動いて行く過程で、
お金がぐるりと世界を駈けまわって
生命力を失うのは10年になってしまったのでは、
と思いたくなります。

もちろん、これでドルの寿命が終わるわけではありません。
修復にだんだん時間がかかるようになって、
恐らく今回は1年ではおさまりがつかないかも知れません。
前回はタイ、インドネシア、韓国と
アジアだけでおさまりましたが、
今回はもっとも健全な筈の
ヨーロッパの金融界にも深刻な影響をあたえているのですから、
完全に恢復するのに、早くても2年はかかりそうな感じです。

しかし、はっきりしていることは、
その度にドルの社会的信用が低下することです。
ドルを稼ぎすぎた日本が真っ先に遭遇したバブルの崩壊が
いよいよアメリカを中心として起ったのですから、
更にこれから10年たって再び起るとすれば、
その時はどうなるか、
私たちは教訓としてきちんと記憶にとどめておく必要があります。
現に私自身、
「日本で起ったことは必らずアメリカでも起る」
と10年前に書いたことを
改めて思い起しているところです。


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2008年2月26日(火)

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