中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2910回
10年前に書いた「マネーゲーム敗れたり」

このコラムでも時々、
他人様の著作を紹介させていただいていますが、
今日は自分が10年前に書いた
「マネーゲーム敗れたり」(PHP研究所 定価1400円)
という本について少しばかり解説をさせていただきます。

10年前と言えば、
ちょうど香港がイギリスの手から中国に返還された時期ですが、
そのすぐあとにタイのバーツの投げ売りからはじまって、
韓国のウォンに至るまでアジアの通貨の大暴落が起り、
通貨の弱い国の金融危機が叫ばれました。
タイのような弱体な国に過大な投資が行われたからだと
専らお金を借りた側のせいにされましたが、
私は実態は自分たちで物をつくろうとせず、
他国につくらせてドルを印刷して
その代金の支払いをしてきたアメリカのせいと考え、
すべてアメリカのマネーゲームの仕業だと指摘しました。

ですから本の帯の大見出しにも
「ドルを持てば大損、アメリカ発世界大不況のゴングが鳴った」
とセンセーショナルな活字を並べ、その裏に
「世界中の株価を押し上げたのもアメリカ政府の濫発したドルなら、
各国の経済を押し倒す力として働いたのも
また同じアメリカのドルである。
その結果は、アメリカの輸出産業にも大きく響くし、
何よりもアメリカのファンドや
銀行の海外投資を焦げつかせることになった。
とりあえず、アメリカのヘッジ・ファンドが
潰滅的な損害を受けはじめたが、
ご承知のようにアメリカの銀行も
もはや産業界に資金を提供する金融機関とは言い難く、
株式投資や為替の先物売買に
バクチの資金を提供する胴元になっているから、
投じた資金の回収ができなくなれば、
日本の銀行が一足先に経験したことを
アメリカもまたくりかえすことになる」
と解説をしています。

まるでいまサブプライム・ローンによって惹き起されている
世界的金融不安の解説をしているようで、
我ながら呆気にとられているところです。
10年前にいま起ることは予想できたということになります。


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2008年2月27日(水)

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