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第2949回
でもオリンピックはちゃんとひらかれるでしょう

台湾に比べると、チベットの問題は簡単でもあり、
その分だけ難題でもあります。
ラサに行くと、500年昔にかえったような感じですから、
あなたがチベットの人たちと共存するためには、
500年前の人たちと折り合う方法を考えなければなりません。
かつてアメリカに移民した人たちが
アメリカン・インディアンをどう扱ったか、
また台湾に渡った福建省や広東省の人たちが
原住民である高砂族をどう扱ったか、
それをいまやるとすれば、
どうやればいいのかということになります。

いまの台湾は2300万人の人口ですが、
原住民である高山族(いまはこう呼ばれています)は40万ほどです。
その中から議員さんも選ばれていますが、
大半の人たちが台湾人に同化されて、
そのオリジンを表に出す人はほとんどおりません。
もしチベットでも同じやり方をすれば、
どこにチベット人がいるのかわからなくなってしまいます。
現に内モンゴルでは漢人との混血がすすんで、
自分から名乗り出なければ、
誰が何人かの区別もできなくなっています。
モンゴル人は目が細く、目と目の間が離れているから、
人相を見たらわかると説明を受けましたが、
どうして目が細いかというと、
砂ぼこりが激しく、
何千年もまともに目を開けられなかったからだそうです。

もしチベットでも漢人を自由に入れたら、
たちまち同じことが起ります。
逆にチベット族を天然記念物として保護する積りなら、
チベットを別世界にしなければなりませんが、
世界中どこにでも人が行き来するグローバル化の時代に、
はたしてチベット人を
オラン・ウータンのように扱っていいものでしょうか。

胡錦濤さんはチベットの行政責任者をやった人ですから、
私なんかより現地の事情に通暁しています。
政治犯をどう扱うかは別として、
平和を保つにはどうしたらよいか、
対策の仕方が明朝、清朝時代と同じだとはとても思えません。
従ってオリンピックがひらけなくなるようなことにはならないと
私は楽観しています。


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2008年4月6日(日)

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