中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2996回
「見切り千両」で株から見切られるな

「見切り千両」という諺をご存じですか。
これは株をやる人が心に刻んでおかなければならない名文句です。
もちろん、読んで字の如く
株を買って大下がりに下がって
損切りをして思い切って叩き売りをする時に、
自分に言いきかせる言葉です。

損をすると誰でもくよくよします。
思い切って叩き売ってしまえば、
その株から卒業してしまえるのですが、
それがなかなかできないのです。
殊に昨今のように株価が軒並み半分以下という時は、
売れば財産が半分になってしまいます。
ジッとガマンして市況が逆転するのを待てば、
損をとり戻せるだけでなく、
もっと儲かることもあり得るかも知れません。
もしそういう確固たる信念を持っておれば、
叩き売る代わりに断固としてナンピンをかければいいのです。

でも株価の下がる時は次々と不利な情報が耳に入ってきます。
株価の全部にそういう情報が流れるわけではありませんが、
どう考えてもこれは自分の間違いだったなあと思わせる株が
必らず現れます。
同じ持っているならこの株を持っているよりも、
あの株に乗り換えておいた方が戻りは早いなあという情報に
あれこれとめぐり合うものです。
そういう場合でも「株の儲けはガマン料」と自分に言いきかせて
忍びがたきをじっと忍ばなければならないのでしょうか。

この際、思い切ってウミを出す気持ちになって骨まで切るのを
「見切り千両」というのです。
株を叩き売って現金に換えてしまったのでは
損切りとしてそれでおしまいですが、
戻りの遅い株から
戻りの早い(と自分が判断する)株に乗りかえるのなら、
思い通りに行かないことはありますが、
夢はまだ生きています。
ですからあきらめてしまうわけではありません。
もちろん、もう株は金輪際ご免だというのも
「見切り千両」でしょうが、
私は新しくバトン・タッチをすることに使っています。
金輪際やめるのなら、
そもそもこの諺をかみしめる必要もないのではないでしょうか。
一ぺん切りでさよならなんですから。


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2008年5月23日(金)

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