中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第2997回
「人の行く裏に道あり花の山」とは

それぞれの時代によって、
その時代に株をやっている人たちに共通の常識があります。
その常識は過去に起った体験や
置かれた環境から身につけたものです。
ではその常識通りのことが次に起るかというと、
ほとんどその通りになりません。
たとえば、今回の世界的な株の大暴落にしても、
株式投資の本家本元ではなくて、
中国株の大暴落からはじまっています。
またそれが飛び火して
アメリカのサブプライム・ローンのピンチを惹き起しましたが、
そんなことになると予想した金融業界のプロは
ほとんどいませんでした。
私にしても
「ドルで投資をしておれば大損をさせられる」、
「アメリカで不動産ブームが続いているが、
いつか必らずおしまいがくるだろう」
くらいのことは予想できましたが、
それがいつどんなきっかけで起るのか、
どのくらいのスケールで損害をあたえるのかは
断言できませんでした。
なぜならば、次に起ることは過去に起ったことと同じではなく、
過去の常識で予想のできることではないからです。

従って過去の体験や常識は
次の株式投資にはほとんど役に立たないのです。
株の名人とか、常勝将軍と言われる人たちは、
同じ体験をしてもその体験は役に立たないことを
知っている人たちだと言うことになります。
もしそうでなければ、
株をやる人は年の順序に成功して
お金をたくさん持っていることになります。
それがそうなっていないということは
株式市場で次に起ることは
過去の経験になかったことだということにほかなりません。

株の諺で恐らく皆さんが一番よく知っているのは
「人の行く裏に道あり花の山」という文句でしょう。
皆がよく通る道は人通りは多いかも知れないが、
お金はどこにもおちていません。
誰も通らない裏通りにこそ花が咲き乱れているのです。
ですから私の書いた物も含めて、
皆がそうだと考える通りには株式ブームは戻らないでしょうし、
大上がりに上がる株もあてきれないと思うくらいで
ちょうどいいのです。
宛てがはずれるのが株式投資の常識と思って下さい。


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2008年5月24日(土)

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