中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3019回
群鶏の中の鶴に見える日本人の青年

雲南でコーヒー園をやろうと決心した時、
私はこのコラムでも
「誰か雲南の山奥に行って
コーヒーの栽培をやってくれる青年いませんか」
と書いたことがあります。

そうしたら何と30何通も手紙をいただいたのです。
私は感銘すると同時に、
日本には自分の夢を実現するために生きる青年が
まだこんなにたくさんいるのか、
と改めて意を強くしました。

村田考市君はそうした青年たちの中でも
最も気が早くて実行力があって、
私に面会に来るとすぐ職を辞し、
私が指示する前にさっさとアパートの荷物を片づけて
山口の親元に送り、
次の瞬間にはもう青島に行く船に乗っていました。
たまたま一緒に現地に行ってくれる最初のプランナーが
青島に住んでいたので、
その指示を仰ぐためでした。

以来これで5年、
最初は現地の言葉さえ全くのチンプンカンプンでした。
食事もなれないし、
コーヒーの木を見るのだって
はじめてだったのではないかと思います。
それが工場を建てることはもとよりのこと、
もうこれでコーヒーの苗木を植えて
今年はとうとう4トンの収穫を自分たちでするようになりました。
また昆明の五つ星のホテル翠湖賓館のロビーに
トップレベルのコーヒーハウスをつくり、
ホテルのガイドブックでわざわざとりあげられて、
コーヒー好きの話題をさらうようになっています。

ビジネスとして成り立つのはやっとこれからですが、
私が言いたいのは多くの日本人が
改良改善の精神を持っていることです。
そして、それを貫くために不撓不屈の努力を惜しまないことです。
こういう人は中国人の中にも全くいないとは言いませんが、
日本人の青年たちの中にたくさんいるのです。
日本人のそういう個性を日本国内で発揮しても
皆が同じことをやりますので大して目立ちませんが、
外国で発揮すると、
群鶏の中の鶴のような目立ち方をします。
改善すべき問題の多いところほど
日本人の青年の活躍する余地が大きいのです。


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2008年6月15日(日)

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