中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3023回
中国で地場産業の開発をやりましょう

一頃、日本国中どこに行っても、
地場産業というものがありました。
ここは漆器の町、ここは雛人形の町といった具合に
その町を代表する地場産業がありました。
恐らく最初は誰かがはじめたものでしょうが、
それが商売になることがわかると、
同じ仕事を真似する人がふえて
とうとうそれが町を代表する産業にまで成長したのでしょう。

そうした地場産業の中で最もスケールの大きくなった店のご主人が
町で一番幅のきく人ですから
商工会議所や商工会の会頭、会長になります。
しかし、それがいつまでも続くわけではありません。
世の中が変わると、地場産業がいつまでも栄えるとは限らず、
次々と持ち込まれた新しい産業と入れかわることが起ります。
材木屋とか造り酒屋とか宿屋のご主人は
かつては町の顔役でしたが、
もしそういう人がいまもなお大きな顔をしておられるとしたら、
その町は時代から取り残された町と言って
先ず間違いありません。

従って地方都市が栄えるかどうかは、
新しい産業がとり入れられて
地場産業として定着するかどうかに大きく左右されます。
一頃、東京や大阪などの大都市が人で不足におちいり、
地方を目指して工場の大移動が起りましたが、
それは地場産業ではありません。
他にもっと有利な条件を備えたところが現われたら、
またすぐにも引越してしまいますから、
その土地にしっかり根を下ろす事業ではないのです。

でもこれからの日本の地方都市で新しい地場産業を育てることは
ほとんど不可能になってしまいました。
しかし、成長過程にある中国の地方都市で
新しい地場産業を育てあげることは
そんなに難しいことではありません。
改良改善を得意とする日本の若者たちが
のこのこ出かけて行ってやれそうな舞台はいくらでもあるのです。
現に雲南省の片田舎で私たちが手がけている
農産物の生産から最終製品までの加工にしても
一つでも成功したら大きな地場産業に育ちあがる
という自信を持っています。


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2008年6月19日(木)

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