中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3025回
中国消防は本社工場の操業に6ヵ月の遅れ

私がとりあげた銘柄なのに、
なぜ本年度第1四半期の中国消防の業績が
いきなり減益になったのですか、と読者にきかれました。
私にもよくわからなかったので、
成都の本社建設現場でお会いした
執行董事の史家浩さんに質問しました。
「株主の方はよくご存じない方が多いのですが、
うちの仕事は毎年、下半期に集中しています。
政府の仕事が多く、予算の都合で
入札・発注はどうしても7月以降になってしまうのです」
という返事がかえってきました。

また消防自動車の輸出は第三世界が多いようですが、
人民元の切上げによるマイナス要因は心配していませんか
と改めてききなおしたところ、
「その心配はしていません。
でもごらんの通りすぐお隣りの都江堰の大地震で、
建設現場の職人たちが一人も姿を見せなくなって、
最終仕上げの段階で完成がすっかり遅れてしまいました。
運び込む予定になっている設備やパーツも
途中まで来て引き返したものもあります」

そういうわけで、
ご本人は7月には作業を開始できると言っていましたが、
中国の建設工事は大体、遅れるのが常識ですから、
3月にはじめるスケジュールが
秋にスタートできたらいい方ではないかと
私は笑ってききながしました。
問題はそうした遅れよりも、
消防事業が成長過程にある中国経済の中で
どういう動きをするかにかかっております。
まず高層建築がふえるにつれて
消防に対する要求はきびしくなる一方だし、
ビルの保守と管理の仕事が
今後も加速度的にふえることに変化はありません。
また今回の大地震の被害をまともに見せつけられて、
地震予防、火災予防に関連した公共投資がふえることは
誰の目にもはっきりしています。

中国の株式市場は少なくとも
秋口までは足踏み状態が続くでしょうが、
中国消防もそれに歩調をあわせることになったようです。
いま私が気にしているのはこれから先の株式市場の動きです。
そういう観点からどうぞ工場見学に行けなかった方も
株価を見るレンズのフォーカスを調節しなおして下さい。


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2008年6月21日(土)

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