中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3026回
四川省地震の現場に行ってきました

成都の温江というところにある中国消防の本社工場を訪問した翌日、
もう一度出直して大地震で被害を受けた
都江堰の現場の視察に行きました。
高速道路は無事だったのですが、
交通規制をいまなおやっている部分もありましたし、
反対に料金は無料というフリーパスがなお続いていました。

都江堰はいまから2300年も前に
岷江という河の氾濫を防ぐために治水工事をやった歴史があって、
観光名所の一つとして、私も何回か訪問したことがあります。
しかし、大地震の直撃を受けて、
5、6階建の商店街や住宅マンションで全壊したものもあれば、
建物にヒビが入って、ガラスのショーウィンドウがこわれ、
とても人の住めない状態になったものもたくさんありました。
広場にはテントが張られ、その中に住んでいる人もいましたが、
そのまたすぐ隣りで商品を並べて売っている
災難にめげないたくましい人々の姿も見られました。
道という道に救助に駆けつけてくれた軍隊と役人と
救援物資を贈ってくれた人々に対する感謝の横幕が張られ、
「政治とはスローガンのことだ」という
中国の生々しい一面を改めて確信させられる光景にも
随所で出食わしました。

被害の現場を見て一番感じたことは、
同じように並んだ建物でも、
構造のしっかりしている建物とそうでない建物では
まるで違った結果をもたらすということです。
家がひっくりかえって死者が生き埋めになったのもあれば、
何ともない建物もあるのです。
最近完成した新しい建物の中には、
ヒビすら入っていないものもありましたから、
恐らく中国じゅうの人々が建築物の安全について
改めて認識をしなおしたのではないかと確信しました。
地震のあと建築中の建物は
鉄筋がちゃんと図面通り入っているかどうかを
きびしくチェックするようになりますので、
今後、不動産を売買する時は
2008年6月以降に建った建物かどうかで
売買価格が違うのではないかと
同行した人たちが口を揃えて言っていました。
罹災地域だけのことではありません。
地震の教訓は全域に及ぶのです。


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2008年6月22日(日)

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