中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3027回
地震の被害より大きな産業界への影響

四川省の大地震が発生してから
既に1ヵ月以上の月日がたちましたが、
地震の記事はいまなお連日、新聞やテレビを賑わしています。
中国が世界中から注目を浴びるような
経済成長を遂げているさなかに起ったことであり、
災害に対して中国政府がどう対処するかは
世界中の関心の的でしたが、
温総理がすぐ現場にとんだだけでなく、
日本や台湾からの救援申し出を直ちに受け入れたし、
また全国の企業にも呼びかけて分相応の寄付金も集めました。
うちの小っぽけな天津の建設機械の会社でも
すぐに100万人民元を寄付しましたし、
私自身も自腹を切って
実家が被害を受けたうちの成都の焼肉屋の従業員たちには
それぞれお見舞い金を進呈しました。
災害がとり持つ縁でギクシャクしていた日本との関係も、
また台湾との関係もかなり改善される方向に向ったことは
皆さんもごらんになっている通りです。
中国よりももっと甚大な災害を蒙ったビルマが
海外からの救援を頑なに拒否し続けたのと
いい対照と言っていいでしょう。

この前の唐山大地震が起ったのは32年前のことですが、
その頃は中国はまだ貧乏だったし、
世界に向って堅く門をとざしていました。
ですから政府の対応も鈍かったし、
世界中が中国で何が起ったのか、
さして関心も持っていませんでした。
しかし、今回は全世界に報道され、
外国からの救援にも心よく門戸をひらいたので
「災いを転じて福にする」現象が次々と起っています。
そういうことを全く関知しないアメリカの女優さんが
つい口をすべらせて
「チベットをいじめた報いだ」と言ったために、
スポンサーになっているディオールが中国で総スカンを食い、
大あわてにあわてて本人のクビを斬るという一幕もありました。
大地震の被害にあった地帯には
チベット族もたくさん住んでいますから、
因果応報と言ったらどういうことになるのでしょうね。
そうした雑音はさておいて、
今回の大地震が中国の産業界にあたえたショックは
私たちが想像するよりもずっと大きいことを
災害現場を歩きながら実感しました。


←前回記事へ

2008年6月23日(月)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ