中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3028回
手抜き工事では稼げない時代に

私が見学をしたのは都江堰の災害現場だけですが、
大地震の被害は建物の耐震構造いかんにによってまるで違います。
掘立小屋のような建物はほとんど倒壊していますが、
町中の5、6階建の、上は住居、下は商店になった建物は、
きちんと建てられた建物と煉瓦を積みあげただけの建物とでは、
天と地ほどのひらきがあります。
全部が崩壊したものもあれば、
ひびが入って建物が傾き、
ショーウインドのガラスがくだけたものもあれば、
建物はとりこわすよりほかないが、
なかにいた人たちの生命に別条はなかった
と思われるものもあります。
とりわけ中国がかなり金持ちになってから建てられた
新しい建物の中には全く被害のなかったものもあります。

して見ると、外見は同じでも、
中国が成長経済に突入して行く過程で、
時代によって建てられた建物の質に
大きな違いがあることがわかります。
とりわけ手抜き工事で金儲けに徹した業者の手になる建物は、
地震のことを考えたら安心して仕事をしたり、
住んだりすることができません。
現に余震の続いている成都で
20階建、30階建の高層ビルにオフィスを設けている
外資会社の連中は、うちのビルにとんで来て
空室はないかという問い合わせが何軒もありました。
イトーヨーカ堂と伊勢丹のために建てたビルは
地震のことも考えて建てているので、
消息筋はちゃんと知っているのです。
従って伊勢丹の上層部につくった
ハイヤット・ホテル(海悦花園大酒店)は
地震現場の現地取材に来た新聞記者や
救援活動に来た宗教団体で連日、満員になるという
思ってもいなかった盛況ぶりが続きました。

当然のことながら、
これから建てられるビルやマンションの耐震構造検査は
一段ときびしくなります。
それも地震災害地だけでなく全国的規模で起ることなのです。
政府がそれを要求するだけでなく、
建物を買う人たちが監視の目を光らせることになるのです。
従って鉄筋の需要はふえることはあっても
衰えることは先ずないと現場を歩きながら直感しました。


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2008年6月24日(火)

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