中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3063回
レストラン商売はこんなに難しい

料理屋はとても難しい商売だと言いましたが、
料理屋をやった経験のある人なら
賛成してくれると思います。
毎日食べる物を扱う商売ですし、
やっている人もたくさんいるし、
何とかお金をかき集めれば
開業までこぎつけることができるので、
店じまいをする人がある半面、
新しく開業する人も後が絶えません。

しかし、実際にやって見ると、
細かいことでクレームをつけられることは山ほどありますし、
人使いも容易ではありません。
友達もたくさんいるし、
顔も広いから大丈夫だと思うのはとんでもない錯覚で、
開店早々は賑わっても、
友人や知人はレストランのお客ではないのです。
そうした御祝儀仲間が去った後に、
見知らぬ客がどれだけ集まり、
どれだけ続くかが本当の勝負になるのです。
しかも、そういうお客でも
昨日と同じ料理とサービスが続くと、
すぐに飽きて来なくなってしまいます。
毎日毎日、あきずに研究をして、
料理にもサービスにも進歩があり、
「おや、この店はちょっと違うぞ」と
お客を感心させるようでなければ、
常連客はできないのです。

ところが、レストランは誰にでもできそうな、
すぐ手の届くところにあるので、
つい手を出す人が山ほどあります。
それも見様見眞似でやる人が多いので、
似たような何の特徴もない店が
次から次へと出て来てはまた消えて行きます。
生き残っている店だけを見て、
組みしやすしと思いがちですが、
生き残っている店だって、
ちょっと研究を怠ると
たちまち消えて行く方にまわってしまうのです。

ですから、
私はレストランをひらく話を持ち込まれると
大抵、首をたてにはふりません。
どうしてもやりたいと粘られると、
「潰れる覚悟はできているか」とききかえします。
「それでもやる」と言った場合、
「では一度来たお客が
次に必ずもう一度来たいと思うような方法を考えてください。
それができたら店が繁盛します」と条件をつけます。
本当はこれが至難の業なんですね。


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2008年7月29日(火)

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