中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3064回
成都で二百席ある焼肉屋を開業

うちのスタッフの一人が
成都で焼肉屋を開く話を持ち込んで来た時、
私はあまりいい顔をしませんでした。
というのは、同じ成都のイトーヨーカ堂の五階で、
私の台湾の秘書の一人が「肉のハナマサ」に教えてもらって
食べ放題の焼肉屋をひらいて
物の見事に失敗したあとのことだったからです。

十年前にヨーカ堂がオープンした時、
五階のフード・フロアに
一人五十元食べ放題の焼肉屋をひらいたところ
爆発的な人気を呼び、長蛇の列ができました。
それを見ると、現地の人たちが
たちまち同じ食い放題の店を
四十元食い放題で周辺に何軒もつくりました。
仕方がないので、こちらも三十八元に値下げしましたが、
儲けは差額の十二元のところにあるのですから、
スレスレのところで商売をやることになります。
しかもこちらも何の創意工夫もなく、
同じことのくりかえしですから、
しばらくするとお客が寄りつかなくなります。
とうとう最後は税金も滞納になって
尻ぬぐいを私がさせられる破目になってしまいました。

そのあと、別のところで全く別のスタッフが
同じアイデアを出してきたのです。
でも私のところではその間に
台湾に進出を試みる日本の牛角が私に助けを求めてきたので、
私の台北のスタッフが店探しから店のデザイン、
人材集め、更にはお客集めまでして
多店化するところまでこぎつけました。
ところが、牛角の経営者が私に無断で
台湾の資本家たちに増資を呼びかけたので、
私との仲がうまく行かなくなり、
私が手を引きました。
でも店づくりから客づくりまでやった連中は
気持ちがおさまりません。
気がついて見ると、
台湾とは縁もゆかりもない遠い成都で、
それも牛角とは全く違った発想で、
一店舗が二百坪もある
大型店をつくる計画を持ち込んで来たのです。

無下に却下することもできないので、
私は北京から成都まで
よくハヤっている焼肉屋を一通り試食してまわり、
条件を二つばかりつけました。
一つは一人前五十元(七百五十円)ですむ店であること。
もう一つは韓国風焼肉にしないこと。
現場から考えても、
とてもきびしい条件でした。


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2008年7月30日(水)

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