中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3065回
店に行列ができる第一の条件は値段

北京や大連だけでなく、
中国には韓国風の焼肉屋がたくさんあります。
とりわけ東北三省は北朝鮮に隣接していますから、
朝鮮族と呼ばれている人たちがたくさん定住していますし、
その人たちがずっと親しんできた料理の中には
寒い時に特に喜ばれる焼肉の店も
珍しくはありません。

成都も、もちろん、例外ではありません。
成都の伊勢丹の上にビジネスホテルをひらくため、
わざわざ日本から来てもらった金伸行君は、
愛知県生まれの韓国人ですが、
私が自分の年齢のことも考えて、
ビジネスホテルの経営を
台湾の一流ホテルのグループに任せる決心をした時、
本人も一時は茫然としたようですが、
これも私の失敗に終わった事業の一つですが、
ボウリング場をまだ経営していた時、
その隣に焼肉屋をひらく話が持ちあがったので、
すぐ金君にやってもらうことを躊躇しませんでした。
金君の家は岡崎で焼肉屋をやっており、
本人もコンサルタントの会社で働く前は
家業の手伝いをしたこともあったそうで、
全くのシロウトというわけではありません。

ですから焼肉屋の経営を任せることに
すんなりきまったのですが、
店をつくる前に
成都でハヤっている焼肉屋さんを一通り食べ歩きました。
そうしたら、私が日本で親しんでいた焼肉屋と
似てもつかないレベルではありませんか。
一人前の値段が安いんだから
仕方ないと言われるかもしれませんが、
そんな言い訳をきく耳を私は持っていません。

ですから私は成都の人たちの収入とのバランスを考えて、
先ず一人前が五十元(七百五十円)ですむように
予算を組みなさいと注文をつけました。
五十元なら少々奮発しただけで美味しくて満足すれば、
また家族や友人を連れて来ようと言う気になります。
食べ物屋のハヤる第一の条件は
一回来た人がまた来る気を起こすかどうかです。
来た人がまた来てくれれば、
やがて大入満員になって行列ができるようになります。
その反対になったら、
遠からず閑古鳥が啼くようになるのです。


←前回記事へ

2008年7月31日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ