中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3066回
隣と同じ物を出すな、慢心するな

成都で焼肉屋をひらく話が持ちあがった時、
第一に私が考えたことは値段を高くしないことでした。
つい最近、成都にも観光客目当ての新しい町づくりがはじまり、
(と言っても
わざわざ古色蒼然とした町並みを再現したものですが)
私も一肌脱いでもらえないかと誘われて、
新しくできたレストランの一軒で食事をしました。
そうしたら、何と6300元の勘定書がまわってきました。
1卓12人でしたから、1人当り何と500元あまりです。
働いている人の月収が1000元の町で、
1人当り1食に500元払える人がはたして何人いるのでしょうか。
いま中国全体が企業熱にうかれていますが、
人のふところの中の勘定ができないような人が
わんさといるのです。
ですから賑やかそうに見えても、
レストランのオーナーが町全体で2回も3回も変わらなければ
おさまりがつかないのではないでしょうか。

もし私がレストランをひらくなら、
その土地の平均サラリーマンが月に1回や2回来ても
痛がらないですむような値段にしようと考えて
1人平均50元と決めたのです。
そして、次は料理の内容です、
韓国焼肉に文句があるわけではありませんが、
いま中国でハヤっている韓国焼肉は、
安い牛肉を使っているせいでしょうか、
とてもおいしいとは言えないし、
それに付随して出てくるキムチや焼飯でも、
いま一つといったところです。
それに比べたら、日本の焼肉屋の方が
味の点でもサービスの点でも群を抜いています。
ですから「韓国風でないやり方で」と私は注文をつけました。
つまりその土地で既にあるようなレストランの中に割り込むな、
新しいやり方で新しい料理を出すように
というのが私の2つ目の要求だったのです。

私たちの一軒目の店は
決していいロケーションではなかったのですが、
1回来た人がまた次に人を連れて来てくれるようになったので、
3カ月もすると行列ができるようになりました。
片時も油断するな、慢心するな、
というのが私の次の激励の言葉でした。


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2008年8月1日(金)

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