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第3071回
北京オリンピックに暴動のおまけ

いよいよ明後日から北京でオリンピックがはじまります。
何しろ中国にとっては歴史はじまって以来の快挙だし、
人民政府にとっては面子にかけても
見事な成果を世界中に見せたいという宿望がありますから、
緊張感に充ちた異常な取り締まりがずっと続いてきました。

恐らくオリンピックはじまって以来、
今回の北京オリンピックほど
世界中の関心を集めたオリンピックは
なかったのではないでしょうか。
一つには世界のリード役をやってきたアメリカに代って
次は中国になるのではないかという思惑が
世界中の人たちの頭の中にあって、
「事勿れ」主義と
ちょうど反対にしたような思いに駆られる人たちが
チベットに暴動が起ったり、
貴州省や広東省に警察や役所を襲う事件が起ったりすると、
鬼の首でもとったように喜ぶさまが目に浮かんできます。
日本のような単一民族で成り立っている国の人には
とても理解できないことですが、
その国の政府も頭を抱えるようなことは
世界中にいくらでも起っています。

アフリカや中東もそうですが、
ロシアの場合は中国よりももっとずっと複雑怪奇です。
中国の場合は、チベットや新疆だけでなく、
北から南まで無数の少数民族を抱え込んでおり、
それを一応は自治区という形で治めていますが、
一番問題になるのは共産党による一党独裁ではなくて、
その出先官庁である地方政府の役人たちの
官僚独裁システムの後進性です。

そこへ開発資本が流れ込むと、
汚職のチャンスが到来しますから、
どこでも住民との間でゴタゴタがはじまります。
民衆が警察署を襲ったり、
政府に殴り込みをかけるようになったのを
暴動と見るのは正確ではありません。
昔なら皆殺しにされたのが死ななくてもすむとわかったので
数を頼んで集団行動に出るようになったのです。
中国が民主化の方向に動いている証拠だと
私は好意的に見ています。
そうでもしないと中国の何千年にも及ぶ官僚独裁の壁を
打ち破ることができないのです。
オリンピックがもたらした思わぬおまけと見て下さい。


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2008年8月6日(水)

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