中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3074回
ゲームと違います、近所づきあいは

ゲームで勝敗を決める時は、
どこの国の人だって自分の国のチームの応援をします。
まさか北京に行って、
日本人が相手方チームの応援をすることはないでしょう。
それどころか、
勢いあまって相手チームの揚げ足をとったり、
審判の不公平を鳴らしたりします。
身体でやる勝負ですから、
身体まで乗り出す人があってもやむを得ないでしょう。

でもゲームに勝っても敗けても、
相手チームや相手チームの応援団の
どこかすぐれたところを見出して
誉めてあげることはできないものでしょうか。
同じ1つのことを目の前にしても、
はじめから敵愾心を持って対応するのと、
好意を持って対応するのとでは、
物の見方も反応の仕方も違いますし、
相手にだってこちらの胸のうちが伝わりますから、
違った結果が出てきます。

オリンピック前の日本人の
中国人及び中国政府に対する敵愾心の激しさは、
新聞雑誌の論調を見る限り、
尋常なものではありません。
多民族を抱え込んだ国がどんな国難にあうのか、
日本人には実感がないし、
チベットに同情すると言っても、
自分でチベットに行ってチベットの実情を見た人が
はたして何人いるでしょうか。
見ると聞くとは大違いで、
もし坊さんに政治を任せることができるのなら、
なぜローマ法王がヴァチカンの本堂の中にとじこめられて
そこから世界の信者に呼びかけるようになったのか、
もう一度、頭に浮かべて見て下さい。
坊さんでは何百万人ものチベット人に
メシを食べさせていくだけの能力がないのです。
私ならダライラマ14世はポタラ宮に戻ってもらって
仏様にお経をあげてもらい、
それとは無関係にチベットの青年たちを大量に
アメリカやヨーロッパに海外留学させます。
それから先どういう形にするのがいいかは
10年くらいたってから改めて決定します。

日本人ももう少し好意的な目で
中国人の人間性を観察したらどうでしょうか。
隣人とのつきあい方はどうやったら仲好くできるかが大前提で、
ゲームで競うこととはちょうど反対の寛大さが要求されるものです。


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2008年8月9日(土)

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