中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3077回
中国にも日本の二の舞がないとは

インドやロシアの旅行の帰りに中国に一歩足を踏み入れると、
同じBRICSの仲間に組み入れられているとは言え、
中国とそれらの国々とは経済の発展する勢いが全く違うし、
町に溢れる活気がまるで違うことが一目でわかります。
もしこれで中国のバブルがはじけるのなら、
他の国々はバブルも発生しないほど経済が沈滞しているから、
バブルの心配がないのは当然だということになります。

シベリアからハルビンに戻ってきても、
モスクワやデリから北京や上海に戻ってきても、
経済成長にスピードがかかっている国と
そうでない国との差が一目瞭然だし、

スピードのかかっている国の方が危いという理屈には
無理があると思います。
いまの中国は日本に追いつけ、
日本を追い越せという位置にいると見るのが正しいのです。

危いと言えば、日本も中国も工業でお金を稼ぎ出す国ですから、
危い過程にはあります。
とりわけ工業生産でドルを稼ぐ立場にありますから、
かつて日本がそうであったように、
中国がドルを稼ぎすぎてひどい目にあわされる心配が
ないとは言えません。
中国が稼いだドルは既に一兆八千億ドルに達したと
発表されていますが、このドルは政府のものではありません。
ドルを減らさないと過剰流動性による
資産インフレと物価高を解消できませんが、
民間にそのお金を使わさせないで、
預かった政府がつい自分たちの自由になるお金と錯覚して
海外投資に運用すると、
かつての日本と同じ失敗をくりかえすことになります。

民間に行き渡った人民元を開放して海外投資をやる代わりに、
政府主導でそのお金で海外投資をやると、
かつて日本がそうであったように、
バブルがはじけてそれこそ日本の二の舞いがはじまります。
そうした可能性も全くないわけではありませんから、
人民元による民間投資や中国市場を対象とした
中国株投資をやる場合はそうしたバブルの崩壊が
中国市場にあたえる影響を考慮に入れる必要があります。
中国にとってはむしろ外貨があまりふえない方が安全なのです。


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2008年8月12日(火)

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