中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第3082回
中国の暴動は民主化運動の一翼です

それにしても日本のオピニオン・リーダーをつとめている人たちは、
中国のことをあまりにもよく知らなさすぎます。
中国に一回か二回行ったことがあったとしても、
日本という環境に育ち、
日本人の目でしか物を見ていないので、
たとえば中国の地方で暴動が起って民衆が大挙して
警察や地方政府を襲撃したりすると、
共産党による一党独裁の政府だから
こんなことになるのだと早合点してしまいます。

でも実際に中国に行って住めばすぐわかることですが、
それは中国が広すぎて中央の目が届かず、
地方にはまだ何千年来の官僚独裁の陋習が残っていて、
役人と警察が昔ながらの姿勢で
権力をほしいままにしているからです。
そういう地方へ近代化の波が押し寄せてくると、
役人や警察が進出企業のボスたちと結託して
農民たちの権益を無視して追い立てを食わしたりするので
地域住民の不満が一挙に爆発します。
そうした場合、昔なら少しでもおかみに立てついたら
九族に至るまで皆殺しにあいます。
ですから皆殺しを覚悟しなければ、
謀叛は起こせなかったのです。

ところが、いまは地方政府や警察に殴り込みをかければ、
中央政府がそれに気づいて対処してくれます。
現に貴州省の暴動でも県の書記や警察の親玉が処分を受けました。
あまりにも各地で暴動が頻発するので、
とうとう北京でも警察の職権乱用に対する罰則を
実施せざるを得なくなり、
かつて台湾でそうであったように、
民衆から一番こわがられていた警察と憲兵と役人が
だんだん成り手の少くなる職業に変わっていく道が
大陸でもひらけはじめたのです。

つまり暴動は皆殺しにされないことが分かったから
頻発するようになったものであって、
民主化への中国独特のプロセスと見るべきものなのです。
従って暴動があるということは
中国の民主化がはじまったということにほかならず、
中国が明るい方向に動いているというバロメーターなのです。
同じ暴動であっても、日本人が考えるような
反政府的なものではありません。
また革命につながるような政治的なものでもないのです。


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2008年8月17日(日)

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